- 有料老人ホームの仕事内容が知りたい
- 有料老人ホームってどんな医療行為があるの?
- ブランクがあっても働ける?
- 有料老人ホームに向いている看護師ってどんな人?
「病院に疲れてしまった」「子育てから職場復帰したい」と考えた時、有料老人ホームへの転職が頭に浮かぶ看護師さんもいるのではないでしょうか。
しかし有料老人ホームは実習もなく、仕事内容がわかりにくい職場でもあります。
働きはじめてから「こんなこともするの?」とすぐに辞めたくなってしまうことも少なくありません。
この記事では、2年間働いた経験をもとに「有料老人ホームの仕事内容」や「辞めた理由」をまとめました。
この記事で解決する「有料老人ホーム看護師に向いてない人」を知っておくと自分に合っているかどうかがわかり、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
有料老人ホーム看護師の仕事内容
有料老人ホームで働く看護師の主な仕事内容「入居者の健康管理」です。
医療行為だけではなく介護業務も加わります。
トイレ介助やオムツ交換はもちろん、お茶をいれたりレクリエーションに参加することも看護師の役割です。
有料老人ホームってどんなところ?
有料老人ホームには主に3タイプあります
- 介護付き
- 住宅型
- 健康型
ここでは、看護師の配置が義務つけられている「介護付き老人ホーム」について詳しく解説していきます。
有料老人ホームの入居者さんってどんな人がいるの?
入居者さんの要介護度は施設によってさまざま。有料老人ホーム全体でみると老健や特養など他の介護施設と比べ要介護度の低い方が多いようです。
有料老人ホームは民間企業が運営しているケースがほとんどです。施設によって「売りにしているポイント」が違い、入居者さんの介護度も異なります。
訪問看護を取り入れているところもあります。
医療行為の多い有料老人ホームでは、有料老人ホームでの医療行為
有料老人ホームで行う主な医療行為は以下のとおりです。
- 吸引
- 経管栄養
- バルーン管理(腎瘻管理)
- 在宅酸素
- 血糖コントロール(血糖測定、インスリン)
- 排便コントロール(浣腸、摘便)
- 処置(軟膏塗布、点眼、爪切り、褥瘡)
- 内服管理(下剤、頓服)
- 通院スケジュール管理
- 急変時の対応
医療行為が少ないといわれる有料老人ホームですが、入職してしてから「意外と医療行為あって大変」と思われる方がいるのも事実です。
有料老人ホームでは看護師が1人体制の職場も多く、未経験者にはハードルが高く感じるかもしれません。
「もう少し医療行為が少ない方がいい」と思った方には、さらに医療行為の少ないデイサービス看護師の選択もあります。
医療行為以外の看護師の仕事内容
有料老人ホームでは、職種ごとに明確な仕事の線引きがされていません。
- 日常生活の援助
- お茶やおやつの準備
- フロアの掃除
- 口腔ケアのあと片付け(コップを洗うなど)
「え。おやつの準備?私、看護師なんですけど…」
こんな風に思ってしまう方には、有料老人ホームは向きません。
有料老人ホーム看護師の1日
有料老人ホームの看護師の1日は以下のとおりです。
8:30~ 申し送り
9:00 バイタル測定(入浴の判断)、ショートステイ入所
10:00 各処置(排便コントロール、褥瘡)、内服管理
11:00 入浴後の処置
11:30 口腔体操
11:45 食前薬内服、インスリン注射、経管栄養
12:00 昼食食事介助
12:30 内服
13:00 口腔ケア
14:00 機能訓練&フロア内見守り
15:00 おやつ介助
16:00 機能訓練&記録
16:30 内服セット
17:00 申し送り
17:30 退勤
機能訓練指ってなに?
介護付き有料老人ホームでは「機能訓練指導員」を1人以上配置する必要があります。
看護師が兼務している職場も多いです。(実際に私も機能訓練指導員もしていました。)
「機能訓練指導員」という資格があるわけではなく「日常生活に必要な機能が衰えないように、一人ひとりに合った訓練を指導する」という役割を担う職種を指します。機能訓練指導員になれるのは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師です。引用:看護roo!
機能訓練指導員の仕事内容は以下の通りです。
- 利用者さんの身体機能、課題を確認(約2か月に1度確認)
- アセスメント、計画書の作成(短期目標、長期目標の設定)
- 利用者さん又は家族への説明(同意のサインが必要)
- 個別機能訓練の実施
- 評価、計画の見直し
有料老人ホームで行う機能訓練は看護師の知識があればできる仕事なので安心してください。
- 歩行の見守り
- 踏み台昇降
- 体操
- クイズなど頭の体操
機能訓練指導員の配置は、有料老人ホームだけではなく特養やデイサービスでも義務付けられています。
ニーズの高い「機能訓練指導員」の知識は、今後さらに必要とされていくことが予想されます。
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有料老人ホームに向いている看護師ってどんな人?
高齢者とのコミュニケーションが得意
有料老人ホーム看護師は接客のスキルも重要視されています。
民間企業が運営しているケースがほとんどだからです。
高価格帯の施設では、より質の高いサービスをも求められて入居されているので「入居者さん=お客様」と意識をもってコミュニケーションをとる必要があります。
不安を抱えながら入居されている方も多く、相談をきくことも非常に多いです。
他職種と同じ仕事をすることに抵抗を感じない
有料老人ホームでは、看護の仕事だけではなく、常に全体をみて働くことができる人が向いています。
医療行為や看護以外の仕事が多いため「これ?看護師の仕事?」と、もやもやしてしまう人には向いていません。
日常生活のお世話が好き
有料老人ホームは、入居者さんにとって居住区間になります。
医療行為は少なく、日常生活の援助がメインになるので日常のお世話が好きな看護師さんに向いてます。
プライベートを重視したい
有料老人ホーム看護師は、残業がほとんどありません。
※勉強会も少ない所が多いようです。
また夜勤がない職場を選んだ場合、決まった時間で働けるのでプライベートを充実させたい看護師さんに向いています。
1人でもくもくと作業ができる
薬剤師のいない有料老人ホームでは、内服の管理も看護師の役割です。
1人で机に向かいもくもくと薬をさばく作業時間が多くありました。
入所している利用者さんは、ほぼ全員なにかしらの薬を飲んでいます。
月に1度受診に行き、大量の薬をもって帰ってきます。
その薬をすべて確認し、日付をふり、名前をつけ、セッティングします。内服関係は他職種の手をかりることができないので、すべて看護師の仕事になります。
1日中、「机の上で薬とにらめっこ」なんてことも普通にありました。
有料老人ホーム看護師を辞めた理由
有料老人ホーム看護師を辞めた理由は以下の3つです。
- 責任が重い
- 他職種への気づかい
- 苦手な人との勤務日がつらい
責任が重い
有料老人ホームには医師が在中しません。
看護師が自分1人だけな職場も多くあります。実際に私がいた有料老人ホームでも、看護師は私だけでした。
体調不良の入所者さんがいた時に「今すぐに受診するか」それとも「少し様子をみるか」を判断するのは看護師です。観察力とアセスメント力 が重要になります。
他にも急変時には、AEDの使用や救急車要請を介護士さんに指示を出しながら、救急車がくるまでの応急処置をしなければなりません。
- 意識消失
- ベッドからの転落で頭部出血
- サチュレーションの低下
- 窒息
看護師の判断が重要になる職場なので、責任は大きいです。
他職種への気づかい
有料老人ホームでは、他職種への気づかいに疲れてしまうデメリットもあります。
なぜなら常に介護士や生活相談員と協力して業務をする必要があるからです。
実は私が有料老人ホーム看護師をしていた頃、必要以上に率先して介護業務をしてました。
全体をみて動くスキルはもちろん大切なんですが、気を使いすぎてしまっては本末転倒になってしまいます。
相談員との関係がうまくいきません。 引用:看護師のお悩み相談室
苦手な人との勤務日がつらい
有料老人ホームでは義務化されている配置人数も少なく1日の職員数が少ないです。そのため人間関係は濃くなります。
職種 | 配置人数 |
看護師 | 入居者30人まで、1人以上 |
介護士 | 看護職員と併せて要介護者3人に対して1人以上 |
少ないの人数でチームワークが求められるため、正直苦手な人がいる勤務日はしんどいのが本音です。
病棟や他の老人施設と比べても施設の規模が小さく1日の大半を同じ場所で過ごさなければならないのもつらい理由でした。
有料老人ホームへの転職に失敗しない方法
有料老人ホームへの転職で失敗しない方法は2つです。
- 面接で仕事内容を確認する
- 転職前に派遣看護師として体験する
面接で仕事内容を確認する
面接でどの程度の看護技術が必要かを確認しておくことは重要です。
なぜなら、看護師の仕事は幅広く看護技術も専門分野によって大きく異なるからです。
仕事内容を具体的に確認しておくことは「自分に足りない医療技術を知る」ことにつながります。
と判断されがちですが、実際は経験したことのない医療行為もたくさんあります。
できないことは「入職前にはっきり伝えておく」だけで、入職後の不安を減らすことが出来ます。
- デイサービスが隣接されている⇒施設内に看護師がいるので安心
- 訪問看護をいれている⇒医療行為が少ない
この2点を確認しておくと不安が軽減されるでしょう。
※私も隣接されているデイサービス看護師さんに助けてもらった経験が多々あります。
転職前に派遣で体験する
有料老人ホームの看護師が自分に合うか体験しておくことで入職後のミスマッチをふせぐことができます。
有料老人ホームといっても、職場によって入所者さんの介護度は大きく異なります。数か所の有料老人ホームを見ておくだけでも「自分がどんな特徴の有料老人ホームが向いているか」を知ることができます。
実際に私も派遣看護師として数か所有料老人ホームを経験しました。
1日から(午前中だけも可)働くことのできる派遣看護師は、色々な職場をみてみたい方におすすめです。
派遣看護師についてもっと知りたい方は以下の記事にて詳しく解説しています。
有料老人ホーム看護師Q&A
ほとんどありませんでした。病棟と比べても、勉強会やカンファレンスは少ない職場が多いようです。しかし施設によっては残業があるところもあるので、入職前の確認が必要になります。
有料老人ホーム(介護付有料老人ホーム)には、看護師を24時間配置する義務はありません。施設によっては「日勤のみ」の働き方も可能です。
私が勤めていた有料老人ホームでは、夜勤もオンコールもありませんでした。(オンコールは施設の責任者が対応してました。)もちろん、看護師が夜勤やオンコールを対応する施設もあります。
難しい医療行為(採血や点滴)もなく、職場復帰におすすめの職場ではないでしょうか。看護師が1人体制の有料老人ホームでも、慣れるまでは相方の看護師が一緒に出勤する所が多いようです。
週に1度、提携しているクリニックの医師の往診がありました。これは有料老人ホームに限ったことではないのですが、クセの強い医師の場合は、大変かもしれません。
まとめ:有料老人ホームはこんな人におすすめ
あらためて有料老人ホームに向いている人をまとめると
- 高齢者とのコミュニケーションが得意
- 他職種と同じ仕事をすることに抵抗を感じない
- 日常生活の援助が好き
- プライベートを重視したい
- 1人でもくもくと作業ができる
記事で紹介した有料老人ホームへの転職に失敗しないための2つの方法は以下のとおりです。
- 面接で仕事内容をしっかり確認する
- 転職前に派遣看護師で体験する
入職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、派遣看護師でいくつか職場を体験しておくといいかもしれません。
実際に私が登録している派遣会社
有料老人ホームへ転職を考えていらっしゃる方の参考になれれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。